S-DBC
ボイド率0%を達成したS-DBC(セラミックス絶縁回路基板)です。
大電力を使う電子部品では高温による不具合が問題視されるため、熱設計・放熱性が重要です。
弊社のS-DBCならば、高い放熱性と接合強度を実現しているので、厳しい環境下でもパワーモジュールが高性能を発揮できます。
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材料と構造
銅(Cu)とセラミックス(Si3N4,AlN,BeO,Al2O3)の積層構造
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弊社開発のスパッタリング拡散接合を用いたS-DBC法
S-DBC法では接合界面に合金層が非常に薄く、ボイドは0%を達成してるので、 従来のDBC法(Direct Bonding Copper)やAMB法(Active Metal Bonding)よりも高性能(放熱性・接合強度)である。
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(1)スパッタリング
(Ti蒸着工程)
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(2)ホットプレス
(銅板接合)
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(3)エッチング工程
(回路形成)
物性
性能
信頼性試験クリア
①熱衝撃試験
(-55~150℃/cycle(15min), transition time < 20S )
-55~150℃/5000回 | 試験合格(ユーザー評価結果) |
②DBC基板 接合界面観察結果
-40~250°/3000回 | 試験合格(産総研評価結果) |
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形状加工・製造
(ホットプレスによる拡散接合)
厚銅 1mm以上にも対応可能
高精度な厚みコントロール
弊社S-DBC法ではCu厚み10um単位でも調整可能。
銅の非対称積層も可能。
高い平面度
従来法(AMB)はCuとセラミックスの界面の合金層により、厚み公差は±50μmほどあり均一ではなかった。
弊社のS-DBC法は、厚み公差±10μmで管理できる。
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厚銅T=1mmの加工イメージ
従来製法との比較
従来①:DBC法(Direct Bonding Copper)
〈積層パターン〉Cu+酸化系セラミックス に限定される。
従来②:AMB法(Active Metal Bonding)
〈積層パターン〉Cu+窒化系セラミックス に限定される。
弊社:S-DBC法(Sputtering Diffusion Bonding Copper)
〈積層パターン〉Cu+窒化系セラミックス or 酸化系セラミックス
スパッタリングの均一なTi蒸着や固相拡散接合による接合法。
Ti層が非常に薄いため高熱伝導率と接合力を持つ。また、大面積接合による低コスト化も実現できる。
価格性
希少材料を使わないので低コスト化。
従来のAMB法のように銀ロウ材は使わないため、銀マイグレーション発生(絶縁不良)も起きない。
生産性が高い。
ホットプレスの大面積接合。
量産化に適した製法である。
独自の製造方法と製造ラインを確立。
[量産の場合]
「材料準備から成形まで」の量産化システムを構築し運用済み。
最小限のエネルギーで大量に成形できる方法である。
[オーダーメイドによる試作の場合]
1点ごとの試作も可能。
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用途
電気自動車のパワーコントロールユニット
電気自動車は「直流と交流の変換」を何度も行うことで効率的に動いています。
電池からの電流は直流ですが、モータの回転数を制御するには交流が有利です。
またブレーキ時の交流電流は直流に変換し、電池に蓄電できます。(モータが発電装置となる)
これらの直流・交流の変換はパワー半導体で行われ、この制御装置をパワーコントロールユニット(Electric Power Control Unit / PCU)と呼ばれます。
両面冷却方式パワーデバイス用の絶縁回路基板としてのS-DBC
大電力に対応した回路基板などの周辺機器のことをパワーモジュールと呼びます。
半導体(シリコン/Si や炭化ケイ素/SiC など)と各種部品が、セラミックス上に形成された銅回路に接合されており、このセラミックス上に銅回路が形成された部品を「セラミック絶縁回路基板」と呼びます。
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電気自動車の仕組み
発進時:バッテリーからPCUを介してモータが回る
ブレーキ時:ブレーキの力をPCUを介してバッテリーに蓄電する
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PCUの構造
IGBT(大電力の周波数変換装置)
IGBTとはパワー半導体の一種であり、大電力の周波数変換装置といった高速スイッチングが可能なのが主な特徴です。
大電力の身近な例としては、新幹線、太陽光発電、インバータ、産業用エアコンなどがあります。
スイッチングといった情報処理が多いほど半導体を大量に積み、その数だけ熱が発生します。
S-DBCはそれらを放熱しつつ、過酷な環境下での使用に耐えることができるセラミックス絶縁回路基板です。
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新幹線、太陽光発電などに利用される
アピールポイント
- 産総研の技術支援成果事例にノミネート
- 新聞掲載
- 中小企業の基盤技術高度化(セラミックス絶縁回路基板)[経済産業省]
- Go Tech出展
- 地域未来牽引企業[経済産業省]