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5G向けS-CMCが北海道新聞に掲載されました
北海道新聞(2019年4月25日版)、「ウオッチトップに聞く」コラムにS-CMCの記事が紹介されました。
以下、全文を掲載しますので、ぜひご覧ください。
【5G需要対応へ増産加速】
部品製造のFJコンポジット(千歳市)は、本社工場の隣に建てた第2工場を今夏から本格稼働させる。次世代高速通信「5G」の世界的な普及を見越し、独自技術で開発した高性能製品を増産する。津島栄樹社長(62)に展望を聞いた。
―第2工場が1月に完成し、試験操業中と聞きました。どんな製品を造るのですか。
「半導体の基板に使う放熱板『S-CMC』を増産しました。半導体が持つ熱を独自の技術で効率よく放熱し、熱伝導率は他社製品の1.5倍。携帯電話の基地局に使われており、半導体の発熱量が従来より大きい5Gの基地局の世界的な普及で需要は大きく伸びると見ています。基地局は世界で約4千万カ所とされ、1カ所に60個程度の半導体が使われています」
―どの程度の増産を計画していますか。
「現在の月産20万個を年内に100万個、来年は200万個まで増やす計画です。受注は順調に決まっています。5Gは通信速度が従来の『4G』の100倍以上で自動運転など新技術の普及に欠かせず、産業革命に匹敵する技術革新と言われます。今年5月期決算見込みは前期並みの1億5千万円ですが、2020年5月期は6億円、21年5月期は17億円を目指します」
―5Gの技術は欧米や中国の覇権争いが熾烈です。普及は順調に進むでしょうか。
「基地局メーカーは華為技術(ファーウェイ)など中国系が上位で欧米系が続きます。経済紛争で普及が遅れる可能性もありますが、進歩の流れは止まりません。わが社は小さな会社ですが、5Gの普及により(放熱材分野で)世界制覇も可能かも。”-CMCは電気自動車の制御装置向けにも供給する計画で、21年から製造する予定です。」
―第2工場の操業状況は。
「一部2階建て約920平方メートルの建物が完成し、設備を一部入れています。8~10月ごろから設備を増やし、S-CMCを増産します。加えて、新たな部品の製造も計画しています。『レドックスフロー(RF)電池』」という大型蓄電池に使う『双極板』です。RF電池はタンク内の電解液に電気をためる仕組み。発電量が変動する風力発電などの電気や、夜間に発電された電気を蓄積して需給を調整し、地域間で融通することが可能になります」
―RF電池は実用化されているのですか。
「北海道電力が胆振管内安平町に実証実験施設を建設済みです。実用化のハードルだった建設・運転コストも低減しているとされ、再生可能エネルギーの普及に向けて世界的に整備が進むと予測されます。電解液に入れる双極板は高い耐食性が求められますが、燃料電池用の部品で培った技術が応用できる。来年から製造を始める計画です」
―従業員を倍増させる計画と聞きました
「第2工場の稼働に合わせて増やす計画です。中途採用中心ですが、道外で働いている道内出身者も受け皿があれば戻って来るはず。本社は新千歳空港が近いので道外と行き来しやすく、製品の輸送コストも抑えられる。千歳は地の利があります」
【主力放熱板独自技術で半導体の性能維持】
ベンチャー企業として2002年、静岡県富士市で創業した。FJは富士のローマ字表記(fuji)から。コンポジットは英語で「複合の、複合物」の意。素材を複合させた材料を造る業容を表す。
主力製品の放熱板「S-CMC」は銅とモリブデンを薄く延ばし、多層に重ねる独自技術で製造。モリブデン使用量と銅の熱膨張を抑え、放熱しやすくして、発熱による半導体の性能低下や故障発生を防ぐ。日米中3国と欧州連合(EU)で特許を取得した。
燃料電池内で水素と酸素を効率よく供給する部品「セパレータ」、電気自動車などで使うセラミックス絶縁回路基板なども製造。千歳に本社工場を置き、米国支社(カリフォルニア州)がある。
津島栄樹社長は2015年度、経済産業省など4省が優れた製品技術の開発者に贈る「ものづくり日本大賞」で最高賞に次ぐ特別賞を受けた。
▷本社:千歳市柏台南2の2の3
▷資本金:3千万円
▷売上高:1億3千万円(2018年5月期)
▷従業員数:13人(2019年4月現在)